目次
1. はじめに
ここではプラスチックの袋について説明したいと思います。スーパーやパン屋さん、街の様々なところでプラスチックの袋を見ると思いますが、皆さんはその種類や特性についてご存知でしょうか?ここでは、代表的なプラスチック袋の種類と素材ごとの特性について説明します。
2. プラスチック袋の種類
OPP(オリエンテッドポリプロピレン)
OPPは高透明度で光沢があり、強度が高いのが特徴です。防湿性にも優れているため、様々な商品の包装に使用されます。

- 特性: 高透明度で光沢があり、強度が高いです。安価な割に透明度が高いので商品の中身を見せるのに最適です。
- メリット:OPPはその透明度と光沢のおかげで、内容物を美しく見せることができます。比較的安価な袋の中では一番透明度が高く、非常に多くの商品の包装に使われています。店で売られている雑貨など小さい商品の殆どはOPPと言っても過言ではありません。
- デメリット:強度が高い反面、柔軟性に欠けるため、折り曲げたりする用途には向いていません。一度折り曲がってしまうと線がついて戻りません。また、その製造方法からサイドから裂けやすく一度裂けてしまうとずっと切れてしまう弱点があります。
- 使用例:食品包装、文具包装、衣料品包装など。透明度が高くクリアに見えるため何にでも使われます。
IPP(インパクトポリプロピレン)
IPPは耐衝撃性が高く、柔軟性があります。透明度はOPPより低いですが、透明度と強度を求める際に適しています。

- 特性: 耐衝撃性が高く、柔軟性があります。透明度はOPPには劣りますが比較的高いとされています。OPPに比べ裂けにくいので強度が求められる用途に適しています。
- メリット:透明度はOPPには劣るものの、十分に高いとされています。また、柔らかくしっとりとした質感が特徴です。さらに、袋は伸びる特性があり、柔らかい材質のため食パンなどを入れる際には裂けにくく、作業性と袋の強度の面で優れています。
- デメリット:袋に加工する際、筒状のため底部をボトムシールするのが基本です。そのため重量が重たい商品には不向きです。また、風船を膨らませるように製造する方法(インフレーション)のため、袋の厚みを均一に製造することが難しく、品質の安定感ではOPPに劣ります。さらに、冷凍には不向きです。
- 使用例: 食パン用、服のカバー袋など。OPPより裂けにくいので透明感を残しつつ耐久性が必要なものに使われます。
CPP(キャストポリプロピレン)
CPPは透明性は劣りますがで引っ張り強度が高いため、強度が必要な商品の包装や重量のあるダイレクトメールの発送用袋として使用されています。

- 特性: 柔軟性が高いです。透明度はあまり高くありませんが、シール強度が非常に高いため重たいものを入れるのに適しています。
- メリット:耐摩耗性が高く、引っ張りや引き裂きに対する強度が優れています。これにより、内容物をしっかりと保護することができます。さらに、ヒートシール性が高く、袋の製造や密封が容易です。耐熱性もあり、120℃〜130℃までの温度に耐えることができます。これらの特性により、CPP袋は多くの用途に適しており、生産性が高く、コストを抑えられるため、大量生産に向いています。
- デメリット:透明度がOPPに比べて劣るため、内容物の見映えがやや劣ります。また、耐衝撃性が低く、液体や粉末の包装には不向きです。さらに、冷温下では強度が落ちるため、零度を下回る冷凍用途には適していません。
- 使用例: 食品包装(密閉性が高いため)、DM用発送袋(強度が高いため)、その他強度の求められる袋
LDPE(低密度ポリエチレン)
LDPEは柔らかく、肌触りが良いです。同じポリエチレンの中ではHDPEに比べ透明度が高く、しなやかでツルツルとした手触りが特徴のポリエチレンです。
現在、ポリ袋の中で最も多く使われています。

- 特性: 柔らかく、透明度が高いです。引き裂きや引っ張り、熱や冷気に対する強度が高いという特性があります。
- メリット:非常に柔らかく、伸びやすい特性があり、破れにくいです。また低温環境でも柔軟性を保ち、-60℃程度まで耐えることができます。衝撃に強く破損しにくいことも特徴で、内容物をしっかりと保護します。加えて、多くの化学薬品に対して耐性があり、腐食しにくいという利点があります。
- デメリット:耐熱性が低く、70℃〜90℃程度までしか耐えられないため、高温環境での使用には適していません。また、耐油性が低く、油脂類に対しては劣化しやすいです。柔らかく伸びやすい特性のため、薄手で作ると持ち手部分から伸びてしまう可能性があります。
- 使用例: 冷凍食品包装(低温に強いため)、ゴミ袋、ショッピングバッグ(柔らかく肌触りが良いため)
LLDPE(線状低密度ポリエチレン)
LLDPEはLDPEと非常によく似ていますがLDPEより更に強度が高く、耐引裂性に優れています。更に柔軟性もあり、さまざまな用途に対応できます。
- 特性: LDPEよりも強度が高く、耐引裂性に優れています。柔軟性もあり、さまざまな用途に対応できます。
- メリット:高い引張強度と耐衝撃性が挙げられます。これにより、包装材料として使用する際に内容物をしっかりと保護することができます。また、柔軟性が高く、曲げたり引っ張ったりしても破れにくいです。さらに、耐薬品性に優れており、多くの化学薬品に対して耐性があります。これにより、化学薬品を扱う環境でも安心して使用できます。加えて、耐寒性も高く、低温環境でも性能を維持することができます。
- デメリット:耐熱性が低く、高温環境での使用には適していません。通常、70℃〜90℃程度までしか耐えられないため、加熱調理用の包装材としては不向きです。また、透明度が低く、内容物の視認性が劣ることがあります。さらに、環境応力亀裂に対する耐性が低く、長時間の応力がかかると亀裂が発生する可能性があります。これにより、特定の用途では耐久性に問題が生じることがあります3。
- 使用例: 米の袋(引張強度が更に強いため)、重いものを入れるショッピングバッグ、強度と耐久性が求められるゴミ袋、工業製品の包装材など。
HDPE(高密度ポリエチレン)
HDPEは強度が高く、耐薬品性に優れています。半透明でシャリシャリとした音がなるのが特徴です。薄くても非常に丈夫で安価に仕上がるため、様々な場所で活用されています。
- 特性: 半透明で強度が高いです。
- メリット:HDPE袋は非常に強く、引っ張りや破れに対する耐性が高いです。さらに、薄く伸ばしても強度を保つことができるため、薄くしてコストを抑えることが多いです。
- デメリット:半透明のため商品を見せるのには適しません。直射日光に長時間さらされると劣化しやすいです。また、70℃以上の高温では変形や溶解が起こるため、高温環境での使用には適していません
- 用途: スーパーの持ち帰り袋、おしぼりの袋、ゴミ袋、工業用包装など。
ビニロン(ポリビニルアルコール)
柔らかい肌触りで透明度が高いです。静電気防止機能があり、埃の吸着を防ぐことができます。透明性と光沢性も高く、内容物を美しく引き立たせることができます。
- 特性: しっとりとした肌触りで透明度が高く商品を美しく魅せます。
- メリット:湿気を逃がすので袋の中で結露が起こらず、カビが生えにくいです。また、静電気がほとんど発生しないので、埃が付きにくいです。透明で柔らかく、光沢があり、中身を美しく見せることができます。さらに、酸化防止剤を含まないので、繊維製品が黄ばみにくく、油や薬品にも強いです。
- デメリット:湿気や高温に弱いため、形が変わりやすく、安定性に欠けることがあります。また、他のプラスチック素材に比べて製造コストが少し高いです。
- 用途: 繊維製品の包装、工業用の錆や静電気を嫌う商品の保護
ビニロンはその環境に優しい特性から、エコな選択肢として注目されています。また一般的にプラスチックは下敷きなどをとっても分かるように電気を溜めやすい性質ですがビニロンは帯電防止の袋よりも遥かに静電気に強いです。
塩ビ(ポリ塩化ビニル)
塩ビは透明度が高く、硬いソリッドな印象の袋です。また耐薬品性、耐候性に優れています。
- 特徴: 透明感と光沢が特徴的で、視覚的にさっぱりとした印象を与えます。塩ビの袋はさまざまな色に着色できるため、カラフルなデザインも可能です。さらに、柄やロゴをプリントしやすく、デザイン性を高めることができます。
- メリット:塩ビの袋は非常に耐久性が高く、引っ張りや摩擦に対して強いです。このため、長期間使用することができ、コストパフォーマンスに優れています。また、塩ビは水を通さないため、湿気や水に強く、屋外や湿度の高い環境でも安心して使用できます。さらに、多くの化学薬品に対して耐性があり、腐食しにくいという特徴もあります。加工が容易で、さまざまな形状やサイズに成形できる点も魅力です。
- デメリット:高温に弱く、60~80℃以上になると変形や劣化が進むため、使用環境に注意が必要です。また長時間使用すると黄変する傾向があります。その他、素材の特性上印刷が塩ビ側に映る可能性があります。環境配慮の面において塩ビからポリオレフィンに置き換えをしている流れがあります。
- 用途: ポーチや夏のデザインバッグなど。
3. まとめ
少し袋ごとの特徴について分かりましたでしょうか?
見た目は似ていますが袋ごとにしっかり特徴があるんですね♪
最後に、各材質ごとの特性を比較できる表を用意しました。
お客様の必要な用途に合わせて目安にしていただけますと幸いです。
項目\材質 | OPP | IPP | CPP | LDPE(ローデン) | LLDPE | HDPE(ハイデン) | PVAL(ビニロン) | PVC(塩ビ) |
透明度 | ◎ | ◯ | △ | △ | ☓ | △ | ◎ | ◎ |
引裂強度 | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ |
引張強度 | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ |
柔軟性 | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △ | ◎ | △ |
耐寒性 | -50℃ | -20℃ | 0 | -50℃ | -20℃ | -50℃ | 0℃ | -10℃ |
耐熱性 | 120℃ | 100℃ | 120℃ | 100℃ | 115℃ | 120℃ | 50℃ | 60℃ |
シール強度 | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ |
またこれらは一般的な素材になります。ラミネートや共押し、貼り合わせなど
これらの素材を組み合わせたより性能の高い袋も作成可能ですのでお気軽にご連絡ください!